当店のサコッシュで使用している革は、タンニンなめし、染料仕上げ、という工法で出来たものです。
動物の皮は、そのまま放っておいたら腐ります。なので鞣(なめ)しという作業をして、腐敗を防ぎ、耐水性や耐熱性などを高めます。タンニンなめしとは、自然素材のタンニンを使って「皮」を「革」に変化させたものです。化学薬品でなめしていないので、革本来の性質が残ります。タンニンとは赤ワインや渋柿に含まれている「渋み」の成分で、空気に触れることによって色が変化してゆきます。
その後、色をつけるのですが、染め方の方法は大きく分けて「顔料」か「染料」を使います。顔料が表面をコーティングするのに対して、染料は革の芯まで染料を染み込ませます。それゆえその革のもつ風合いが残ります。
よく「経年劣化を楽しむ」と言いますが、この「タンニン鞣し」の「染料仕上げ」を施した革がもっともエイジングを楽しめます。色が変わっていき、革が手に馴染んでくるのです。
世界には、色んな革製品がありますが、経年劣化した革は一つだけのオリジナル製品となり、長く付き合ってさらにその製品を楽しめます。
染料仕上げのものは、表面をコーティングをしていないので、水に弱い、傷がある、などの性質もあるので、それがデメリットと取られることもありますが、濡れたらすぐに拭いてあげるなどのケアをしたり、たまには保湿クリームを塗ってあげたりすることで、さらに愛着がわくので、それがまたいいのです。ぜひ、変わっていく本革の製品を楽しんでいただきたいと思います。
革の説明をし始めたら、ものすご〜く長くなりますので、とりあえず終わりますが、経年劣化を楽しめるタンニンなめし、染料仕上げの革こそ、私の大好きな革なのです。